※連載は終了しました。記事内の価格及びデータは連載当時のものです。
第4回:ニコンNew FM2
ーニコンショックによる高騰、そして安定した相場へー
ガンダーラ井上著
 どうやら日本の市場ではフィルムカメラが新品では売れなくなっているみたいです。まるでレコードがCDに急速に切り替わった時代みたいな状況なんですけれど、そうなると逆にアナログへの郷愁からか、中古品が高騰したりもするの。今回ご紹介するニコンNewFM2もそのひとつ。

 1984年に登場し、ハイブリッドシャッターを搭載した後継機種FM3Aにバトンタッチするまでの17年間ものあいだ生産が継続していたロングセラー。機械式のシャッターは1/4000秒の最高速と、シンクロ1/250秒を実現。露出計にしか電源を必要としないので電池が無くても写真が撮れる。この信頼感にプラスして今世紀初頭まで生産されていたのでニコンの正式なメンテナンスサービスが2010年12月頃まで受けられるという安心感から中古市場でも安定した人気のある機種だった模様です。そんなニコンNewFM2の相場に変化が見られたのは2006年の春でした。

 チャートの変化を見てみれば、ピーク時には5万円台を突破。発売当時の価格は6万5千円ですから中古としては異例の高値です。絞りとシャッター、ピントをマニュアル操作でセットするカメラは写真学校の生徒さんにとって必需品。新入学シーズンには定番のマニュアル機として若干の相場変動があったみたいですけれど去年の値上がりは写真学生さんの需要にプラスして、ニコンがMF一眼レフの布陣を縮小するというアナウンス(ニコンショック)により社会人のカメラマニアも中古のアナログニコンに群がった結果と分析されます。現在では2002年頃の生産完了直後の相場に近い値まで落ち着いてきており、本年入学した写真学生さん達は、昨年入学の先輩より安くニコンNewFM2を手にしているという次第。

 ニコンNewFM2まで到達するニコンの家系図をさかのぼれば、1965年のニコマートFTが始祖となります。ニコンFのサブ機としてコパル製の縦走りシャッターを搭載したニコマートは1977年のFT3をもって終了し、そのコンセプトは堅牢でよりコンパクトなニコンFMへと引き継がれていくのです。高級品を好むカメラマニアからは小刻み巻き上げができないとか、シャッター音に品性が感じられぬなど指摘される場合もあるのですが、どんな状況でも確実に写真が撮れる実用機を安価に提供するという考えでニコマートは設計されており、ニコンNewFM2にも同様の信条が流れているのだと思います。

 写真の基本を見直せる、必要にして充分な機能のカメラ。手元に1台あると何だか安心できる機械式の一眼レフとしてニコンNewFM2は今後も中古市場で安定した人気をキープしていくと思われます。そこで社会人の読者諸兄に提案です。このカメラを春先に買うのはガマンしましょう。そうして相場を高騰させなければ、写真学校1年生に1本でも2本でも余計にフィルムが使える余裕をプレゼントできるのですから。


<ニコンNewFM2>
1984年3月発売
発売時価格 65,000円
1982年に発売されたニコンFM2のフラッシュ同調速度を1/250秒まで高速化したモデル。ファインダースクリーンもより明るさを増したクリアマットスクリーンへと変更。シャッターブレードのハニカムパターンはなくなり、フラットなブレードになっている。上下カバーをチタン製としたモデルも発売されていた。


PHOTO&TEXT=ガンダーラ井上

ニコンNewFM2+ニッコール50/1.4 標準レンズとのセットは、まさに写真の基礎を教えてくれる存在。ファインダー内の赤色LED(+○-)表示で適正露出を手動セット。もちろんピントも手動操作。ファインダー内には絞りとシャッター速度も表示される。



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1977年に登場したニコンFMと、基本的な骨格は同一。シャッター速度ダイヤルや多重露光および露出計のスイッチ、フラッシュのレディランプの有無などが主な相違点となる。



軽快なハンドリングが心地よいニコンNewFM2だが、オプションでモータードライブの装着も可能。大袈裟な音をたてフィルムが巻き上がる。


価格相場データ提供:フジヤカメラ店 http://www.fujiya-camera.co.jp
※  チャートグラフは、2001年から現在までのフジヤカメラ店の販売データを元に作成しています。
実際の市場の中古価格は、カメラ店により異なります。